「ナイボー」見ました

 
 わいわい組第1回プロデュース作品「ナイボー」見ました。
 わいわい組とは 元SETの山田幸伸さんののプロデュース公演で組まれたユニット名。今回はSETの役者さん*1キャラメルボックスの役者さん*2、元キャラメルボックスの役者さん*3、という舞台役者さん5人のハートフル喜劇な公演でした。
 
 
 
 判りやすく、喜劇です。
 日本古来からの定番演劇「人情モノ」。笑って泣いて、ってやつですね。アレです。
 でも、笑っちゃうんだよね、んで最後にはホロっと泣いてるんだよねー。なんだろう? やっぱり日本人の血にある「人情モノ」DNAのせい?(笑)。今回も最後、ほろっと涙流してました。
 

浩二と平八は、高校時代の野球部のバッテリー35歳の今でも親友同士。浩二は平八を合コンに誘う。そこで知り合う、りえと礼子。浩二は礼子と平八をなんとかくっつけようとする。実は、浩二が礼子に作った借金の為、平八と礼子が仲良くなった後、平八の預金通帳をもちだして引き出そうとしているのだった。
 それを知った浩二の妹のあゆみは、その計画を止めようとする。その方法とは・・・。
 
   [わいわい組公式サイトより]

 
 ネタバレ、になってしまいますが、妹のあゆみちゃん、というのが5年前に死んじゃっている子なんですね。それは芝居開始5分も経たずに判ることなんですが、心に恐怖心を抱えている人間には見えるという彼女の姿が、お兄ちゃんには見えない。
 で、そのお兄ちゃんが、いつもだまされている親友に家の権利書を取られそうになるのを*4止めようとと頑張る、ってのが本筋のお話で、
 そこから、「人を信じるということ」や、「友達って」という、ある意味普遍のテーマにつながっていきます。
 
 「人を信じるってイイナァ」、と思わせると同時に、「でも大変そう・・・」とも思わせる大変面白い芝居。やっぱりどこか突き抜けてる人ってのがいいモチーフになるんですね。私は普通でいいやw
 お兄ちゃんがちょっとだけ妹を見ることができたシーン、
 どうして見えたんだ? という親友の問いかけに「信じたら見れた」と呟いた主人公に親友が、
「お前の信じる力は、どれだけすごいんだよ!」
 って呆れながら言ったのですが。その言葉が何故か心に残りました。
 やっぱり突き抜けてる人って素晴らしいってことなのかな(笑)。
 
 ちょっと残念だったのが、「お前に許されるたびに、俺がどんな気持ちになったかわかるか? だからお前を騙してやりたくなったんだよ!」という台詞に対しての本人の返答がなかった事。やっぱりお互いの心情を吐露してこその親友モノではないかと。
 まぁ、
「今のお前を信じる奴はいないよ。俺が信じてるのは、あの夏のお前。158球投げ続けた*5お前を信じてる」
 という台詞がすべてなのかな。
 男同士の友情モノって体育会系にするとすごく美しくなるからずるいよね。女同士の友情ってーと、絶対もっとどろどろしてる気がする。現にこの芝居でも女の友情モノのネタは「いじめ」だったし。
 そうは思ってても、泣いちゃうし感動しちゃうんだけどw。
 
 主人公、お兄ちゃん役は山田幸伸さん。
 SET出身の役者さんらしく、結構はじけててテンポの良いイメージがあったのですが、今回のお芝居では ぼんくら おっとりした役で、ちょっと意外でした。
 まぁ、「紅茶きのこ」「抹茶もやし」など胡散臭い新モノ*6の投資に自分を誘って失敗しまくる親友を信じ続ける人、という設定なので、それくらいが丁度いいのかな? いかにも「実直」という言葉が似合いそうな役でした。
 ただ、山田さんの持ち味もちゃんと生かしてあって、「ポップコーンアワー」と名づけられた「酔っ払い状態」が面白かったです。なんてーの?・・・・・・一人ネタパレード?(笑)。途中ちょっとつらいところもあったけど、それも生かしてすっごい頑張ってました。すっごく笑いました。やっぱりファンサービスは大事ですよね。
 
 丸山優子さん。
 伊藤四郎一座やSETのお芝居でいいなぁ、と思っていたのですが、やっぱり今回も良かったです。
 主人公を騙す時の演技と素状態の演技の落差がおかしくて。上手いなぁ。と大笑いしてました。彼女の仕切り系しゃべりが好きです。
 
 やっぱりちゃんとした役者さんによる安心して見られる芝居っていいですね(笑)。
 

*1:丸山優子、河本千明

*2:前田綾

*3:近江谷太朗

*4:あらすじでは預金通帳ってありますが、舞台では権利書でした

*5:強豪校との25−0で負けた野球の試合で、親友が158球全力で投げ続けた

*6:もっとあったけど忘れたw