「シェイクスピアソナタ」見ました
作・演出、岩松了*1 、主演、松本幸四郎の「シェイクスピアソナタ」見ました。
チラシは割りと好みだったし、出演者も悪くないんだけど、
シェイクスピア役者の異名をとり、演劇界でも独自の地位を築いている沢村時充(松本幸四郎)。彼が率いる一座は、看板女優だった先妻の父・菱川宗徳の財力に支えられてきた。シェイクスピア四大悲劇の旅回り公演最終日の会場は、菱川家の特設ステージ。菱川家の人々(高橋克実、伊藤蘭)に温かく迎えられつつも、沢村の心は少なからず緊張している。妻が亡くなって一年もたたぬ間に、一座の二番手女優・松宮美鈴(緒川たまき)と結婚し、先妻の後釜に座らせていたからだ。
そんな状況に心中穏やかではない菱川家の人々と、さまざまな思惑を抱く俳優たち…。かくして、表向き平静を装って公演が幕を開けたものの、はたして、公演は無事に終わるのか?そして、一座に幸せな夏の終わりが訪れるのだろうか!?
というあらすじの感じでは、積極的に見たいとは思いませんでした。正直。
それなのにチケット取ったのはひとえに、
生幸四郎が見たかったからー!(笑)
つっても、王様のレストラン以来なんですけどねw。あー、古畑があったか。その後に。
つーわけで、観客の年齢層の高いwPARCO劇場に行ってきました。
あらすじ見ただけでは、どんな話なのか判りませんでしたが、
見ても分かりませんでした(笑)
つっても、不条理とか難解だったわけでなく・・・なんつーか・・・
人生は舞台みたいなものね。
って感じ?
てっきり松本幸四郎中心に話は進むのかと思いきや、いきなり出てきたのが一座の俳優と死んじゃった奥さんの妹との不倫ネタ。
ドラマとかでこの人が上司だと絶対部下の女の子と浮気してるよね、というイメージのある豊原功補さん、かっこ良かったですね〜。これなら不倫するわー(笑)って感じ。伊藤蘭と並んでもお似合いで、この不倫に妙に納得したりしてw
でも、伊藤蘭が怖かった。
なんつーか・・・女の情念系の怖さ?
「貴方と会えるのは1年で4日だけ。あとの361日は死んでいるのよ」*2
なんて、鬼気迫る表情で言われてみなさいよ。大抵の男は引くと思いますw
でも、同行者(男)はそんなに怖がっていなかったので、私がここまで怖かったのは、自分の中に同調しちゃう部分があったからなんでしょうか? いや、ここまではしませんが。つーか、できませんが。
妙に芝居がかった(つーか、シェイクスピアっぽい)言葉を話す素人さん役のこの方を見ていたら、ロールプレイの楽しさを妙に実感しちゃいました。
シェイクスピアごっこって、楽しいだろうなー。
合わせてくれる人は滅多にいないだろうけど。
伊藤蘭が情念系の怖さなら、いっちゃった系で怖かったのが後妻役の緒川たまきさん。
自分たちの結婚について回りにどう思われているかが気になるあまり、精神を病んでしまったとしか思えない言動や行動が怖かったー。
役者だから普段も芝居がかってるんだよ。
と、言えなくもないだろうけど、でも、それにしてはいき過ぎ。
それに振り回される松本幸四郎は大変だなぁ、とかちょっと思いました。まぁ、自分で選んだ道だから仕方ないんだろうけど。
達観してるんだかあがいてるんだか、最後まで分からなかったのが松本幸四郎。
でも、良い事言うんだ、このおっちゃんが。
毎日あったのに何故か今日になって連絡がとれない婚約者の事を心配している一座の俳優に対して、
「恋愛というのは重荷を背負うってことかもしれない。だとしたら、(相手よりも自分の想いが強く)相手よりも自分がより重荷を背負ってしまったことを悔しいと思ってしまうかもしれないが・・・」*3
って言ったり、
ハムレットはオフィーリアのことを好きだったんでしょうか? という質問に対して、
「そりゃ、オフィーリアによるだろ」
と、答えてみたり。
それなのに、最後に劇団員を刺してしまった息子に対してとちくるった台詞を言ったりして、最後まで判らなかったなぁ。
でも、それが人生なのかな。と。
私の好きな言葉の一つに「誰もが自分の人生では主人公」というのがあるのですが、人生はシェークスピアの戯曲のようなものだ、ってことなのかなぁ、と。
非常に「シェークスピアソナタ」というタイトル通りのお芝居だったと思います。