「エビ大王」見ました

 「Team ARAGOTO」の「エビ大王」を見ました。
 

 「Team ARAGOTO」
 ハイテンションな演技で舞台にテレビに映画にと大活躍の俳優・筧利夫が、ダイナミックな芝居を目指すプロジェクト「Team ARAGOTO」を立ち上げた。歌舞伎の「荒事」にイメージを借り、世界中の演劇作品から「勇猛で荒々しい作品」を選んで上演していくというプロジェクト

 

エビ大王
 物語の舞台は青銅器時代から鉄器時代に移りゆく古の朝鮮。世継ぎの息子を望むエビ大王は、皮肉にも女子ばかりを授かってしまう。「次こそは」と期待した7番目の子も女と知った大王は、その娘を川に捨ててしまう。ある夜、跡継ぎのいない彼のもとへ、来世からの日直使者と月直使者が現れ、いよいよ寿命がきたことが告げられる。命の猶予を得るために、代わりに一日30人の民を殺し、国を乱し始める大王。一方、川に捨てられた娘・パリデギは、波乱万丈の境遇のなか生き延びていたが……。

 
 
 
 韓国では昔から子供が泣くと「エビがくる! エビがおぶって去くぞ!」と怖がらせる習慣があるらしく*1、そのエビが主人公。
 そのせいか、事あるごとに「エビ!」「エビ!」って大音響で連呼するんですけど、そーゆー風習を知識でしか知らない*2私には、非常に浮いて見えて・・・なんつーか・・・不自然?w まぁ、それだけ恐れられてるってことね〜。と納得させながら見てましたが。
 
 荒々しかったです(笑)。
 出てくる人出てくる人、全員パワフルで、それだけならいいんだけど、いがみ合ったり憎しみあったりしてるんで、正直見てて疲れました。私、「踊る世間」も見られないほど「いがみ合う」のダメなんですよ(苦笑)。
 それと、何だろう・・・「家長が一番偉い!」「年功序列!」「女性は子供産むための道具!」っていうのが随所に出ていて、それを否定するっていうテーマがあるんだとは思うんだけど、やっぱり見ていて気持ちの良いものじゃないですね。
 ヒロインはそれに抗うことなく*3流され続け、どうも感情移入ができない。もう一人のヒロイン(王の娘として生まれ、息子として扱われることを望むがそれを拒絶され、自分で王の素質を持った者を探し育て王に立てた)の方が素直に感情移入できました。まぁ、結局は父に王座を取られ、殺されるんですがw。でも凛とした姿が素敵だったなぁ。
 
 見ててしんどかった中で救いになったのが「橋本じゅん河原雅彦」の死神コンビでした。狂言回し的役割なんですけど、彼らが出てくるとほっとしました。そして退場しちゃうと、次いつ出てくるのかな〜。と心待ちに(笑)。
 
 佐藤アツヒロが格好良かったです。
 やっぱり、やんちゃなアウトサイダー役なんですけど*4、正直それ以外の役は見たことないんですけど、でも、それでも格好良ければいいよね! と思わせてくれるのが素晴らしい。皆自分のことしか考えてない登場人物の中でただ一人、「(俺がここを押さえている間に)お前は逃げろ!」って自分の女を助けようとした姿に、あぁ、やっと普通の人間を見たよぉ。って思いました(笑)。
 
 あぁ。やっぱり筧利夫さんは熱かったですね。
 すげーいやらしい役を体当たりでやってて、王の風格、見たいなのがずーっと出てました。この人は笑いだけじゃないんだなぁ、と再確認しましたよ(笑)。
 
 青山劇場らしく、火やらフライング(というよりは、上から落ちてきただけ、なんですがw)、水、と、色々な仕掛けがあって面白かったです。衣装も豪華で振り付けも派手で見事。
 「渡る世間」が普通に見られる人なら、おすすめ、かな?w



 

*1:ナマハゲみたいなものかしら?

*2:しかも知ったばっかだ

*3:時代背景を考えると当然なんだけど

*4:王の娘に見出され、ヒロインを捨て王となろうとした男