「橋を渡ったら泣け」見ました

 
 生瀬さん演出の「橋を渡ったら泣け」を見ました。
 風邪は絶賛続行中なのですが*1、集中力が切れることなく見れました。
 風邪引いてても、大丈夫なものは、大丈夫なんじゃないかw
 

 未曾有の大災害でほとんどの土地が水没してしまった日本。
 わずかに残った山頂にたまたま生き残った人たちが集まり、たまたまそこにあった食品会社の倉庫にあった缶詰を分け合いながら助け合い生きていた。
 そこに一人の男が辿り着き、閉塞していた集団はどうなっていくのか・・・

 
 ってな感じの、追い詰められた人間の弱さや強さを描いた芝居でした。
 こういうシチュエーションモノって、好きです*2
 
 人間って集団になると、自然にリーダーが生まれるじゃないですか。
 んで、そのリーダーが、どっちにいくかが重要ですよね。
 大抵の場合、暴君になるんですがw
 今回の芝居も、最初は集落の救世主だった男がリーダーとなって、皆で仲良く暮らしていくのですが、そいつが段々調子に乗ってきて、いきなり裁判とか始めだして、
「我々は、最後の人類ではない。最初の人類となるべく行いを正していかなければいけない」
 みたいな事を言い始めて、夫婦を別れさせようとしたりする。
 
 うわー。むかつく。
 
 本気で殴りたくなるような悪役を見たのは久し振りでした。
 私、あの場にいたら絶対殴る。あいつ。
 手を握りしめながらそんな事を思いつつ見てましたもん(笑)。
 勿論お芝居なのでそのまま進むはずはなく、男はあるきっかけでリーダーの座から脱落して、最後に流れ着いた男がリーダーとなるのですが。
 その男が、前リーダーよりは理性的なんだけど、段々同じ事を始めるんですね。
 その二人だけじゃなくて、集団が二つに分かれてその二人の取り巻きのようになって、前リーダーの時に虐げられてた人が、リーダー交代で調子に乗って前に苛められた奴を苛め返したり、本当に人間の嫌なところ、弱いところが自然な形で表現されてました。
 つっても、暗い話ではなく、コメディテイストなんですよ。
 その辺が生瀬さんの味なのか、元々の脚本なのかはわかんないのですが、ちょっと聞くといやんな話*3ですが、面白く見られました。
 
 最後に辿り着いた男の大倉さん。
 気弱な男、頼りがいのある男、悩む男、色々な顔を見られて面白かったです。
 この人、見るたびに感じが違う人になっててすごいなぁ、と思うんですよ。今回の「頼りがいのある男」は初めましての大倉さんで、ちょっとかっこ良かったです。
 でも、気弱でわたわたしている大倉さんも好きだw
 人間って、変わらずにいようと思っていても、変わっちゃうものなんだなぁ、って事をこの男を見ていて思いました。
 それが人間の弱さなんでしょうねー。
 良い変化もあるだろうし、悪い変化もある。だから冷静な第三者的視線を持つ友人・知人を持つことは大切なんだなーって、思いました。
 
 大倉さんとは対照的に八嶋さんは、最初から最後まで「変わらない」人でした。
 難しいことはよく分からない、といいつつ、最後まで自分の基準をしっかりと持っている人。
 色々ある中で、変わらないでいるっていうのは、すごいなぁ、と妙な感心をしてました。だって絶対私、長いものに巻かれちゃう派だからw
 そういう飄々とした役、八嶋さんは似合いますねー。
 
 似合うといえば、戸田さんには強い女が似合いますねー。
 今回、唯一の夫婦役で、気弱な旦那をサポートしている女性、理不尽な前リーダーにNOを突きつけていた女性、で、それは格好良かったのですが、リーダー交代したときに、あっさりリーダーに従っていた姿に、ちょっとがっかりでした。まぁ、人間だからしょーがないかなー。とか思いますが。

 見ながら、私だったこうなるかな? とか、こうするな、とかついつい考えちゃう、非常に興味深いお芝居でした。
 まぁ、私は日本と一緒に沈んでるその他大勢の人間だと思いますが(笑
 

*1:37℃から下がりませんー(泣笑)

*2:一番好きなのはシチュエーションコメディなんだけどねw

*3:私、いがみ合う人たちの話って苦手なんです。「渡鬼」なんて絶対見られない